歯科クリニックのインテリアデザインで重要なポイントについて
歯科クリニックを新規開業する際、やらなければならないインテリアデザインの重要なポイントについて紹介しています。コロナ禍を経験し、まったく新しいスタンダードが求められている歯科クリニックのインテリアデザインのトレンドもあわせてチェックしていきます。
コロナ禍を経験した私たちの社会は、今後もコロナウイルスを含めた感染症対策を万全にしなければなりません。歯科クリニックは、口内を診察する場所なので、感染リスクも高いと考えられますので、今後の対策を考える際は、これまでの常識についても少し疑いながら、進化させていかなければならないでしょう。
新規で歯科クリニックをオープンする場合は、この新たな対策から始めることになります。歯科クリニックといえば、以前は「シンプルなインテリアで明るく清潔」というイメージがありましたが。しかし、現在は少しずつその状況は変わってきていて、エステサロンのような雰囲気の歯科クリニックも増えてきています。
歯科クリニックのインテリアに必要不可欠な要素
歯科クリニックのインテリアを設計するうえで、絶対に外せない要素について、まずはご説明しましょう。
清潔さの演出
歯科クリニックに限ったことではありません。清潔さは、すべての医療機関において必要不可欠な要素です。もちろん、インテリアを清潔なイメージにするだけではなく、日々、入念に清掃を行わなければなりません。しかし、患者さんに気分良く、落ち着いて診療を受けてもらうためには、インテリアによる雰囲気作りがとても大切です。なかでも、この清潔さを演出することはマストだといっていいでしょう。
心を落ち着かせる演出(癒やし)
歯科クリニックでの治療は、大人になってもちょっとした恐怖感を持つ人がいるほど「痛い」イメージがあります。実際、そこまで怖がる必要はないのですが、やはりそんなイメージを持っている人は少なくないので、そんな心を落ち着かせるような雰囲気作りが歯科クリニックのインテリアには求められます。
感染対策
歯科クリニックでは、当然ながらこれまでも感染対策には気を配ってきたわけですが、コロナ禍以降の感染対策は、まったく異なるレベルのものとなりました。特に歯科医や歯科衛生士は、患者の口の中をチェックするので、より確実な感染対策をとる必要があります。ただ、難しさもあります。あまりにも厳しい対策を導入してしまうと、患者さんに与えるイメージが悪くなってしまうからです。癒やしを演出すべきところ、感染対策が患者さんのプレッシャーやストレスになってしまっては意味がありません。せこでインテリアの出番です。「インテリアで感染対策ができるのか?」と思われるかもしれませんが、ソーシャルディスタンスが確保できるよう、さりげなくイスの配置を変えることもインテリアによる立派な感染対策です。
患者さんの属性に合わせたインテリアデザイン
歯科クリニックの患者さんにも、ほかのビジネスと同じように一般的な客層があります。これは主に地域性によるものです。新しく開店する歯科クリニックの場所が新興住宅地の場合は、子供やその親世代が患者さんの中心になるでしょう。古くからの住宅地の場合はやや傾向が異なり、患者さんの年齢も新興住宅地よりは上になります。一方、オフィス街に歯科クリニックをオープンさせる場合は、ビジネスマンが患者の多くを占めるはずです。歯科クリニックをオープンする場合は、このような地域的な傾向について、大雑把にではなく、詳細にリサーチをする必要があります。そしてリサーチで得られた情報を基にしてインテリアのデザインを考えていきます。
ファミリー層向けのインテリアデザイン
新興住宅地周辺に住むファミリー層がメインターゲットになる歯科クリニックは、子供に注力したインテリアがおすすめです。なかでも、子供向けのプレイスペースは集客にとても大きな効果があります。プレイスペースがあると、親の負担が減ります。親が診察を受けている最中、子供を遊ばせておくことができるからです。親にとっては、歯科医の診療を嫌がる子供を、プレイスペースを理由に連れて行きやすいというメリットもあります。
ただし、クリニック側としては、遊んでいる最中に子供たちがケガをしないよう、十分に監視できる態勢を整えなければなりません。受付からプレイスペースを見とおせるようにする、子供の危険になりそうな物をプレイスペースから排除する、などを考える必要があるでしょう。
オフィス街のビジネスマン向けインテリアデザイン
ビジネスマンが患者さんの大半を占めるオフィス街に歯科クリニックをオープンさせるのであれば、これまでの「歯科医院」のようなイメージから脱却することも選択肢のひとつです。ファミリー層向けのような子供の存在は意識する必要がないので、インテリアを少し豪華に、大人向けににしてみてもいいでしょう。ビジネスマンは仕事上、ストレスを抱えていることが多いので、豪華ながらもやはり落ち着きのあるカラーでインテリアをまとめるのがおすすめです。ホテルや空港のラウンジを参考にしてみてもいいでしょう。
近年、注目されている女性向けのインテリアデザイン
近年、女性をターゲットにした歯科クリニックも増えています。ほとんどは歯科の一般診療を行うクリニックではなく、美容系の歯科クリニックですが、主な患者さんが女性の場合は、取り入れることを考慮すべきすばらしいアイデアです。
このような女性をターゲットにした歯科クリニックでは、カフェやサロンのようなおしゃれで落ち着く空間を用意しています。まさに「ワンランク上」の癒やしが提供される空間なのですが、これが世の女性たちの注目を集めているというわけです。
女性のニーズを満たすように考えられているインテリアには、大型の鏡が設置された化粧室、高級感あふれるファニチャーや小物、花などが使われています。また、さまざまな角度の照明を利用することにより、女性のためのおしゃれな空間が演出されています。色使いや照明のアイデアは、一般の歯科クリニックでも十分に参考になるものです。
歯科クリニックのインテリアの基本設計
歯科クリニックのインテリアには「清潔さ」「癒やし」「感染対策」という重要な要素がそろっていなければなりません。そのうえで、基本的な設計を考えていく必要があります。歯科クリニックは、スタッフと患者さんが快適に動けるように設計しましょう。
動線を考慮してインテリアを設計
スタッフの動線と患者さんの動線が交錯してしまうようなインテリアだと、診察の進み具合にも影響してしまいます。そのため、それぞれの動線をしっかりと考えてインテリアを設計しなければなりません。
プライバシーの確保
医療機関の待合室や診察室のインテリアは、プライバシーにも配慮して設計する必要があります。「癒やし」という重要な要素とプライバシーを両立することは実際、難しいと岩ずるを得ません。しかし、プライバシーに関しては、大きな問題に発展しかねないため、優先事項だといえます。待合室は広く、天井の開けた開放感のあるインテリアにしながらもくもりガラスのバーテーションで区切るなどするのもひとつのアイデアです。
診療室も、できるだけほかの診察台との間隔をとるなど、工夫するようにしましょう。